遺産分割がまとまらない場合、財産は未分割の状態として扱われます。
この状態で、相続税申告を行うこと自体は可能ですが、大きな負担が伴う可能性があります。
本記事では、相続財産が未分割の場合に相続税へ与える影響やその原因について解説します。
相続財産が未分割だと相続税は高くなる
相続財産が未分割で申告を行うと多くの場合で、税負担は分割済みの場合に比べて重くなります。
以下でその理由について確認していきましょう。
理由①配偶者の税額軽減が使えないため
配偶者の税額軽減とは、配偶者が取得した正味の遺産額が1億6000万円、または法定相続分のいずれか多い金額まで相続税がかからなくなる制度です。
本特例を利用するためには、実際に配偶者がどの財産を取得したか確定している必要があるため、未分割の状態では特例を適用させることができません。
理由②小規模宅地等の特例が使えないため
相続財産が未分割の状態で申告を行うと、自宅や事業用の土地の評価額を最大80%減額できる小規模宅地等の特例を利用できません。
これは、小規模宅地等の特例の適用要件として、土地を誰が引き継ぎ、将来にわたって維持するかが確定していることが求められるためです。
特に、評価額の高い都市部の土地などを相続する場合、特例の有無で納税額が数百万円から数千万円単位で変わることもあるため、未分割による損失は非常に大きくなります。
理由③相続税の納税猶予の制度が使えないため
財産の分割が済んでいないと、特定の資産に対する納税猶予も利用に制限がかかります。
具体的には、以下のような制度が利用できなくなります。
◾️非上場株式等についての相続税の納税猶予
後継者が株式を取得して事業を継続することが条件となり、適用できません。
◾️農地等の相続税の納税猶予
農業を引き継ぐ者が確定していない限り、猶予を受けることはできません。
◾️山林についての相続税の納税猶予
特定の山林を相続人が取得し、管理を継続することが求められる制度です。
まとめ
相続財産が未分割のまま申告期限を迎えると、本来受けられるはずの税制優遇が受けられず、経済的な負担が増大します。
還付を受けることも可能ですが、納税資金を確保する苦労や手続きの手間を考えれば、やはり期限内の分割完了が理想です。
遺産分割協議が難航している際や、期限後の還付手続きを確実に行いたい際は、相続の実務実績が豊富な税理士へ相談することをおすすめします。







