生前贈与は、自分の財産を生きているうちに譲渡できる有効な手段ですが、第三者への贈与には特有の注意点があります。
税制面での違いやトラブルリスクを理解し、適切な手続きを踏むことで円滑な財産移転が可能です。
本記事では第三者への生前贈与の基礎知識やメリット・デメリット、実践的なアドバイスについて解説します。
そもそも生前贈与とは?第三者にも渡せるの?
生前贈与とは、生きている間に財産を他者に譲渡する行為です。
家族だけでなく第三者への贈与も可能ですが、税制や手続きに違いがあります。
生前贈与の基本
生前贈与とは、生きている間に自分の財産を他者に無償で譲渡する契約行為です。
贈与する側を「贈与者」、受け取る側を「受贈者」と呼びます。
年間110万円までは基礎控除として非課税ですが、それを超える場合は贈与税の申告・納税が必要となります。
財産を円滑に引き継ぎ、若い世代に有効活用してもらう目的で行われることが多いです。
「第三者」って具体的に誰のこと?
生前贈与における「第三者」とは、法律上の親族関係のないひとのことです。
具体的には、友人、知人、内縁関係の相手、婚約者などが該当します。
親族以外の第三者が贈与を受ける際には、親族への贈与と比べて税制面での優遇措置が少なく、贈与税の負担が大きくなる傾向があります。
また、相続税対策としての効果も限定的になることが考えられるため注意しましょう。
第三者に生前贈与するメリット・デメリット
第三者への生前贈与には特有のメリットとデメリットが存在します。
税制面や法的手続きの違いを理解して、計画的に進めることが重要です。
メリット
第三者への生前贈与のメリットとして、相続人以外の特別な関係のあるひとに財産を渡せることが挙げられます。
また、生きている間に感謝の気持ちを形として伝えられるなどの対応が可能なため、遺言書の解釈を巡って、相続人と対立してしまうなどのトラブルが発生するリスクを抑えられる点も大きなメリットです。
贈与する相手と財産を自由に選べるため、自分の意思を確実に実現できます。
デメリット
第三者への生前贈与のデメリットは、実施した生前贈与が否認されてしまい、相続税が発生する可能性がある点です。点です。
また、贈与者が73年以内に死亡した場合は相続税の課税対象となる可能性があります。
ただし、2024年から2030年の7年間は、移行期間として加算期間が以下のように、段階的に変化しているため注意が必要です。
| 相続の開始日 | 加算対象の期間 |
| 2024年1月1日〜2026年12月31日 | 相続開始前の3年以内 |
| 2027年1月1日~2030年12月31日 | 2024年1月1日から被相続人が死亡した日までの期間 |
| 2030年1月1日以降 | 相続開始前の7年以内 |
贈与契約の証明が不十分だと名義預金と判断され、追徴課税が発生することもあるでしょう。
第三者に生前贈与する場合の注意点
第三者への生前贈与には特有の注意点があります。
円滑な贈与を行うためには、以下のポイントを把握しておく必要があります。
贈与税の基礎知識と第三者への課税
贈与税の基礎控除額である110万円を超えた場合、贈与額に応じた税率で贈与税を納めなくてはいけません。
贈与税は累進課税をとっており、贈与額が高いほど税率が高くなる仕組みです。
第三者への贈与の場合、直系尊属からの贈与に適用される特例税率(贈与した年の1月1日時点で18歳以上の子や孫に贈与した場合に利用される税率)ではなく、一般税率が適用されるため税負担が大きくなるので注意しましょう。
特例贈与の場合に比べ、一般贈与の場合の税率は、贈与額が「300万円超4,500万円以下」の間で5%高くなります。
また、法人からの贈与は贈与税ではなく所得税の対象となるため、税制面で異なる扱いを受けることに注意が必要です。
贈与税の申告・納付は贈与を受けた翌年の3月15日までに行わなければなりません。
「生前贈与加算」とは何か?
「生前贈与加算」とは、相続開始前7年以内に行われた贈与を相続財産に加算して相続税を計算する制度です。
これは、相続税逃れを防ぐために設けられています。
第三者への贈与も対象となり、贈与者が亡くなった場合、その贈与財産が相続財産に加算されるので注意しましょう。
ただし、すでに支払った贈与税は相続税から控除されます。
この制度により、相続直前の大型贈与による節税効果は限定的です。
また、相続人以外への贈与でも、相続税の計算上は相続財産として扱われるため、注意が必要です。
トラブルを避けてスムーズに贈与するには?
生前贈与は適切な手続きと専門家の助言が重要になります。
トラブルを回避し、円滑に進めるためのポイントを解説します。
記録と証拠の残し方
生前贈与のトラブルを避けるには、贈与契約書の作成が最も重要です。
契約書には日付、贈与財産の内容、贈与方法、両者の住所・氏名を記載し、できれば自筆で署名して実印を押印しましょう。
また、金銭贈与の場合は手渡しではなく振込で行い、通帳に記録を残すことが大切です。
贈与契約書は2通作成し、贈与者と受贈者がそれぞれ保管することをおすすめします。
専門家への相談が不可欠な理由
専門家への相談が不可欠な理由は、生前贈与の複雑性と法的リスクにあります。
税理士は最新の税制に基づくアドバイスを提供することが可能です。
専門家の知識を活用することで、将来の相続税対策や家族間のトラブル防止につながり、円滑な生前贈与が実現できます。
まとめ
生前贈与は家族だけでなく、第三者にも行える財産の移し方です。
第三者への贈与は自由度が高い一方、税制面での優遇が少なく、相続人とのトラブルリスクがあるので注意しましょう。
円滑な贈与のためには契約書作成や振込による記録保存が重要です。
税制や法律が複雑である点からも、第三者への生前贈与を考えている場合は、専門的知識を持つ税理士へ相談することをおすすめします。








